不幸な病気ホウレンソウ病

ある会社の部長さんと飲んでいたら「奴は失敗ばかり繰り返す。失敗から学ばないし、ダメな奴だ。」とある部下の方の話をされました。まぁ愚痴ですね。

僕はその部下の人とプロジェクトで一緒に仕事をしたこともあるし、近くで一定期間じっと見ていたのですが、なんとなく仕事自体の内容や能力が評価がここまで地を這ってしまっている原因ではないような気がしてきました。

少なくともこの人が上席に「ダメな人」と思われている原因を分解すると以下のような上司とのコミュニケーションが原因なんではないかと思います。

①プロセスをすべてバカ正直に詳細に報告している。
②このまま仕事を進めた場合導き出されるであろう結果に対して自分がどう未来を変えようと動いているかが明確ではない。
③自分がどうしようもない状況に置かれているという説明に終始している。
④「全部自分の失態です。」と言ってしまう。

例えば、このダメだと言われている人をAさんとすると、彼の上司とのコミュニケーションはこんな感じです。

上司 「わが社の工場で認めてもらえる認可にどんなものがあるか調べてくれ。」
Aさん「〇〇と✕✕だと思います。」
上司 「すぐにそれを進めるように。」
(数週間後)
Aさん「Bさんが取りまとめてくれた資料を基に、役所に申請に行きました。役所には条件を満たしていないので却下すると言われました。」
上司 「何をやってるんだ!あれだけ時間をかけて、できませんでしたで済むわけないだろう!」
Aさん「大変申し訳ありません。すべて私のミスです。」
上司 「そもそもなんでこんなことになってるんだ?」
Aさん「以前と役所が言ってることが違いまして、Bさんが昨年のデータを基に作った申請内容ではダメだそうです。おかしいじゃないですか?と言いましたが頑として聞く耳を持ってもらえませんでした。」
上司 「でどうするんだ!」
Aさん「・・・・・・・・今年予定していた認可はたぶん下りないと思います。」
上司 「・・・・・・もういい!」

例えば、結果はまったく同じでも上司の評価が上がる人が居ます。仮にCさんとしましょう。

上司 「わが社の工場で認めてもらえる認可にどんなものがあるか調べてくれ。」
Cさん「現状のわが社の設備では条件をクリアしている認可はなさそうですね。。ただあきらめたくないのでもう少し調べさせてください。」
上司 「頼む。なんとかならないかな。」
Cさん「〇〇と✕✕なら可能性があるかもしれません。役所のご機嫌次第かもしれませんが、、Bさんを借りてもいいですか?」
上司 「よし、Bは自由に使ってかまわん。ダメ元でやってみよう。」
Cさん「部長、今日申請に行ってきましたが、やはり難クセをつけられましたね。。前回聞いた時より更に基準が厳しくなってます。食い下がりましたが。。」
上司「そうか、、何か他の手はありそうか?」
Cさん「修正プランを2つ用意しています。とことんやらせてもらえませんか、、僕としてはなんとかしたいので。他の仕事はもちろん遅らせませんから。」
上司「そこまでする必要はないだろう。今回はあきらめよう。手間をかけてすまなかった。」

何が違うのか。
仕事の中身だけを分解したらAさんもCさんもやった作業と結果は同じです。
ただ、上司のAさんの評価は最低になり、Cさんの評価はうなぎのぼりです。

どのタイミングの何が違ったのかを分解してみると、

①リスクの読みが甘く、仕事の難易度の共有と周りの期待値のコントロールができていない。
②作業の実行に主体性がない(作業をする動機が自分の中にあるように見えない)
③うまくいかない結果に対するリカバリープランが用意されていない。

というのが大きいですね。なんか組織内でどんなに仕事しても株が一向に上がらないクソ株社員というのがよく居て、なんとかしてあげたいとも思うのですが、アドバイザリーではどうにもならなそうなので最近は止めました。
多分ハンズオンで再生させれば蘇るのかもしれませんがそこまでするメリットもあまりないので。。

ただ、こういう人は「コミュニケーションがヘタなだけで不当な扱いを受けている。」とも言い難いものもあります。

はっきり言って経営に近くなればなるほど、短い時間で正確なジャッジが必要とされますし、100戦して100勝じゃない中でどんどん勝負をしないといけません。
なので、キリっとした攻める上司が部下を評価する点は以下の点に集約されてきます。

①仕事の最終ゴールが理解できているか。
②適切な課題の設定が出来ているか。
③リスクを正確に読めているか。
④主体的に状況を変化させるように働きかけているか。
⑤問題にぶつかった時にリカバリープランを自分で立てられているか。

当然、上記の部分で評価される人はより権力が強い人に協力してもらえるので本当にアウトプットが出やすくなり、結果もついてきてしまいます。
殆どの仕事というのは一人でやるものではないですからね。そりゃそうです。

こういう評価されるコミュニケーションのポジション取りみたいなことが弱い人の特徴はある意味「私心がなく気持ちが強い」ということです。

僕なんかは、心も弱い上に褒められたいスケベ心が満載なので、折角がんばったのに人に怒られるのもイヤだし、同じがんばるなら評価されたいと思ってしまいます。
が、こういったがんばってるのに評価されない「正直、善良、あるがまま」が体の中に染みついている人は都度の現象やプロセスを正直に共有しなければならないと思っているようです。

僕はこれをホウレンソウ病と呼んでます。

早く特効薬が開発されればいいのになぁと思いながら、今日も偉い人の愚痴を聞いています。

別に「俺は誰かに評価されたくて仕事してるわけじゃない!」とか一匹狼を気取るのは勝手ですが、評価されない人とやる仕事なんて周りの人も迷惑ですからね。
周り人の為にも自分が最大限評価された方がいいと僕は思いますよ。

さて、どうせなら評価されるポイントをおさえて今日も持ち場で頑張りましょう。どうせ1人で出来ることなんか知れてますからね。