山口義宏著「マーケティングと年収のリアル」から〜

ごきげんよう
皆さんお久しぶりです。
さて、出張から戻り久しぶりに朝、会社のデスクに行くと物騒なタイトルの本が置いてありました。
マーケティングの仕事と年収のリアル」と書いてあります。
大切な友人であり、ブランディング戦略の師匠でもある山口義宏さんの新刊です。
クリアーで中の本の表紙が丸見えの封筒で献本いただき、不在がちな私のデスクにしばらく鎮座していたようで社員の人たちも私のデスクの前を通って目にしたことでしょう。
もうこの時点で山口さんの戦略勝ちです。

僕はキャリアをプログラマーからスタートさせたエンジニア出身なので、必要にかられてマーケティングを学んだクチです。
自分の会社自体は多彩な事業は抱えているものの、マーケティング支援領域でのお仕事も多く自分自身も長くマーケティングに関連した仕事をしてきましたし、スタッフにも多くのマーケターを抱えています。
今日は普段お世話になっている御礼を兼ねて山口さんの新著を読んで思ったことを少し書こうと思います。

キャリア関連の話は不変の人気コンテンツですが、最近は空前の売り手市場ということもあり、かなりアグレッシブな話もよく目にするようになりました。
とにかく転職を勧めるもの、独立・起業を促すもの、MBAは無駄だという説や、大学へ行くのは無駄だと言うものまであります。

山口さんの本は「年収」を一つの分かりやすい切り口にマーケティングという比較的職業としてフワっとしていたり、玉石混交の領域で自分の職業人生の中のキャリアをどう戦略的に構築するかをわかりやすく解説してくれています。
とてもリアリティがあり、私も業界の「中の人」として納得できる話や、頷く話、それ言われちゃうと困っちゃうな・・・というような話が沢山ありました。

 人生を旅に例える人は多いですが、個人の人生は本来自由なものですから、自家用車で移動するようなもんだとすれば、目的地がイメージできれば後は正しい地図とリアルでタイムリーな情報があると迷わず目的地にたどり着くことができます。
 キャリア系のコンテンツはこれまでも豊富だったので「正しい地図」は結構あったと思うのですが、ナビで言えば渋滞情報や工事情報、道の舗装状況みたいなものは手に入りずらく限定された視野の中で意思決定をして思わぬ渋滞に巻き込まれたり、不意に行き止まってしまうものでしたが山口さんの今回の本は、どの道を通るかの意思決定を行う上でのリアルでタイムリー、かつ正確な情報であると思いました。

詳しい内容は本を読んでいただき、特にマーケティングに携わる皆さんには個人個人みずからの目的地に応じた判断をしていたく上でとても役に立つ本だと思います。ただし、一つ注意点は先に述べた通り山口さんの本はリアルタイムな情報です。ですから「今」読まないとダメですよ(笑)。昨日の渋滞情報が意味ないように。

さて、僕からは、山口さんの今回の著書を読んで自分のキャリアを振り返ってどう思ったかを記します。
この本の最終章には山口さんご自身の経歴について真摯にオープンにされている章があります。
僕はもう家族ぐるみの長らくの付き合いですし、全て知っていた話ですが、山口さんは決して緻密に戦略的に学歴やキャリア形成をされたわけではなく、本人曰く「ピカピカの経歴」ではないそうです。
著書の中でも「ストリートファイト」と表現されているあらゆるレンジの現場と経営と体当たりでぶつかり、また熱心に学び、チャレンジされてくる中で体得してきたリアルな学びと景色の一部をこの本にまとめられたわけです。
僕もピカピカの学歴、キャリアとは程遠いところから20年以上必死に走り続けてきましたが、では問いです。なぜ人はキャリアアップをしないといけないのでしょうか?
もちろん本著でも年収というのを一つの切り口にはしていますしとても大事なことではあります。
でもキャリアとして上へ上へという旅にそれこそ全知全能を投入しなくてはいけない理由は何か?そこには何があるのか?
僕のたどり着いた今のところの答えは、山口さんのこの本の最終章に何気なく書いてある一言に集約されています。

「私の学歴については、特に隠すつもりもありませんし、これまでもクライアントやメディアの方から質問されればっすべて率直にお伝えしてきました。友人や関係の近い仕事関係者には周知の事実です。クライアントの方も、学歴を答えると最初は皆さん驚かれますが、変わりなく接し続けてくださいます。周囲のみなさんの、その度量の深さには心から深く感謝しており、大変幸運だと思っています。」

マーケティングの領域に限らず、ビジネスの世界は自らが求められることに応え、自らの腕を磨き、視野を広げて、社内社外を問わずキャリアをアップさせていくことで得られる最大の果実は、僕はこの「自らを人間として信頼しきちんと分け隔てなく接してくれる度量の大きい人たちの世界」に、この厳しい時代を生きる戦友として迎えてもらえることだと思います。
山口さんが言う「ストリートファイト」で僕もずっと生きてきましたが、僕もこういうユニークで度量の大きい人たちに本当に助けてもらったし、友人としてフラットに接してもらえるようになったのが、自らの実力や境遇を直視してキャリアと真剣に向き合ったその先にあったことです。

自分は今は経営者ですので、自分の会社はもちろんですが、社外で縁のあった方、そして身近なところでは息子たちを一人でも多くこの世界に入れてあげられる場と育成を提供したいと心の底から思います。

山口さんはとてもできるマーケターですので、お客さんである読者に興味を持ってもらえるように精いっぱい下世話に書いたこの本はやはり、最後で化けの皮がはがれて山口さんの真摯で実直なところがモロに出てしまっています(笑)
ですので、書店に山と積み上げられる軽薄なキャリア本とは違うぞということをお伝えさせていただいたところで今日は終わり。

是非手に取ってみてください。

マーケティングの仕事と年収のリアル

さて、個人のキャリアを自動車の運転に先ほど喩えましたが、経営ボードとしてのキャリアはどちらかというと列車だと思ってます。
事業はそんなにクルクルと方向転換していてはカタチになりませんから、ここぞというところで「ガシャン」とポイントを切り替え、レールを敷設しながら、あとは粘り強く力強く貨車や客車を引っ張り続ける必要があると思います。
でも列車のいいところは自動車(個人)より自由度は落ちるかもしれませんが沢山の人やモノを目的地の近くの駅まで運ぶことができるところですし、個人としては分不相応に幸せなビジネスマン人生を歩ませてもらっている周りへの恩返しを残りの人生でしないといけません。

僕の汽車に一緒に乗ってくれている人はどこへ連れて行ってほしいと思っているのかを考える上でも勉強になりました。

さて、山口さんの本を拝読し大きく学びを得たところで僕のやるべきことは決まりました。

ご存知ですよね?(笑)今日も持ち場でがんばりましょう。