靴を大事に〜レザースニーカーは修理できる

ごきげんよう
久しぶりに靴の話をしようと思います。
このような記事を目にしました。

靴のスタートアップたちの足取りは軽い | TechCrunch Japan https://jp.techcrunch.com/2018/07/10/2018-07-07-shoe-startups-arent-dragging-their-feet/ @jptechcrunchさんから

ここ最近靴関連のスタートアップがどんどん出てきており、その成長のカギは「デザイン性が高く快適な高級スニーカーのような靴」。市場も成長しなによりも男性がフットウェアにお金をかけるようになってきている。ということでした。

確かにこの数年の高級レザースニーカーというアイテムはすごく売れているようで多くのメーカーが参入していました。
その勢いを示すのがこれまでメンズの高級ドレスシューズを手掛けてきたメーカーが積極的にラインナップに加えたことです。
ジョンロブ、ベルルッティ、サントーニといったラバーソール(ゴム底)の靴すらあるのか?という本格靴ブランドからなんとスニーカーが発売されて驚いたものです。

僕も実は一足このレザースニーカーライクな靴を気に入って履いていました。
僕は靴好きですが、その短くない歴史の中で好みがかなり変遷し(笑)、最初は武骨なグッドイヤーウェルト製法のアメリカ靴から入り、どこかで何かネジが外れたのか製法とかスペックへの拘りはどっかに行ってしまい、どちらかというとシルエットの美しさの方に目が行くようになり、この10年ほどはマッケイ製法だろうがセメントだろうがテケトーです。
で、もうかれこれ10年前に手に入れて気に入って履いていたのがラバーソールなのに底がゴツくないこの靴でした。
コバの張り出しのないスラっとしたシルエットにラバーソールという、天候のぐずつく日の多い日本では大活躍の頼れる奴です。

しかし、終わりはあっさりと訪れます。
韓国への出張中、ソウルの街中でパカッとヒールが取れてしまいました。
驚いて取り急ぎ路上にある靴修理屋に持ち込んだところ10分ほどで接着剤でくっつけてくれました。
「あーよかった」
と思ったのもつかの間。翌週には東京でまたパカッw


(パカッ)

え?!となり、慌てて駅構内の某靴修理屋さんに持ち込んだところ、職人さんから言われたのは「コリゃあ、カカトだけ接着してもダメですね。元々ソールと一体化しているから。。すぐには治りませんよ。」とのこと。
え?!なにそれ?となり、ならば仕方ない。。。と、本格紳士靴のリペアに定評のある銀座の某靴修理店に持ち込むことに。
さらにそこでは驚愕の事実が。
「これ、要はスニーカーなんですよ。セメント(接着剤による圧着)だから革靴みたいな修理の仕方はできないんじゃないですかね。アッパー(上部の革)だけ生かして、新しく底を付けるとしてもコバを張り出さないといけないから前の靴とは違うゴツい靴になってしまいますし、それも本当にできるかどうか。。。」
「え?てことは平たく言うと使い捨てってことですか?」
「ま、、まぁ。。そういう履き方なんだと思います。。」
「まじか。。。。わ、、わかりました。。」
と、別れは突然に訪れることになりました。
「そうか、君レザースニーカーだったんか。。。」

じゃぁ仕方ないね。。と思いかけたその時、ふと冒頭の記事を思い出したのです。
今これだけレザースニーカーやラグジュアリースニーカー市場が拡大しているなら、リペアしたいという僕みたいな人間も沢山出てきているはず!
そういう課題解決に挑戦する変態、いやチャレンジャーがきっといるはずだ!と調査したところ、、、いたー!
シューデザイナーの勝川永一さんとバッグ職人だった高見雅治さんのお二人が立ち上げられた大橋のリペア工房 The Shoe of Lifeがスニーカーの複雑な修理をやっているとのこと。
高級紳士靴の造詣も深い彼らならこいつを修理してもらえるかもしれない!
と藁にもすがる思いで持ち込むと、「こ、、これは。燃えますね。やらせてください。」と頼もしい回答が!
で待つこと1か月半。
ロールアウトされた愛用の靴は、ぴかぴかの新品に。セメントと手縫いマッケイによる補強ステッチで薄いラバーソールが張られシルエットもオリジナルを再現してくれている。すごい!


(薄いラバーソールでオールソール。コバの処理も美しい)


(マッケイで補強の縫いをしてくれている。多少の防水性よりこちらの方がうれしい。ステッチもきれい)


(すっかり元通り、というか前以上の仕上がり)

「大変だったんじゃないですか?無理を言って申し訳ありませんでした。」と言うと、「難しかったですけど、いい靴ですね。本当に。」とのこと。
「ありがとうございます。本当にうれしいです。」

本当に修理できるとは思わなかったので感無量でした。

おそらく「レザースニーカー 修理」というキーワードでこのブログに至る人もいるかもしれません。
今後はほかの修理屋さんでもすこしづつ対応はしてくれるようになるとは思いますが、お気に入りのスニーカー。あきらめる前に相談してみるとよいかもしれません。

やはり靴に足を入れるのが楽しみだと本当によいですよ。
なぜってまた持ち場でがんばろうと思えるからです。

では

※今回僕がお世話になった目黒区大橋のThe Shoe of Life さんはこちら
http://shoeoflife.blogspot.com/